ICOM・IC-R6解説
 業務用無線・アマチュア無線機器のメーカーとして長い歴史のある「アイコム」のワイドバンドレシーバーは、初めてワイドバンドレシーバをご購入される方にも、自信を持ってお勧め出来ます。アマチュア無線を30年以上やっている私の経験上、アイコムの製品は非常に高い信頼性と、考え抜かれた操作性の良さを兼ね備えています。

 

 ここではアイコムから発売されているIC-R6を徹底解説します。初めての一台として、購入を検討されている方は、是非参考にして下さい。

入手しやすい価格帯

 「ワイドバンドレシーバーとは?」のページで解説しておりますが、2023年11月現在国産のハン

ディタイプのワイドバンドレシーバーは、「IC-R6」と、アルインコの「DJ-X100」の2機種です。

 「DJ-X100」は2023年4月に発売された比較的新しい製品ですが、定価が\99,000(税込)とやや

高めです。「IC-R6」の定価は\28,380(税込)ですので、約3.5倍ですね。

 

 「DJ-X100」の価格にはもちろんそれなりの理由がありますが、初めてワイドバンドレシーバを

購入される方にとってはちょっと手が出にくいかもしれませんね。

 

 現在入手できる国産ワイドバンドレシーバで、IC-R6購入しやすい価格帯の製品と言えます。

 

小型軽量で優れた携帯性

 空港の近くに持って行って使う事が多いワイドバンドレシーバーですので、携帯性の良さは重要なポイントです。

 

 IC-R6は重量がアンテナ・バッテリを含めても「200グラム」の軽量です。サイズも幅58×高86×奥行29.8(mm)の小型軽量。奥行を除けばスマート

フォンとそれ程変わらないサイズ感ですね。

(ただし、付属のアンテナは本体より少し長めでます。)

 

 携帯時は背面のクリップでベルトに挟み込んでおけば、写真撮影などの邪魔になる事もなく快適にエアバンドワッチが楽しめます。

 

 

付属充電池と市販乾電池使用で、長時間使用でも安心

 携帯型のワイドバンドレシーバでは、バッテリライフも重要な要素です。お目当ての航空機を目の前にしたタイミングでバッテリ切れを起こしてしまうと、せっかくの楽しい時間も台無し・・・。

 

 「IC-R6」なら、付属の充電式ニッケル水素電池で約15時間の長時間稼動です。

しかも単三アルカリ乾電池では19時間のロングライフも可能です。必要な電池はたったの2本

この単三乾電池が使えるという事、結構大事なポイントです。コンビニなど身近で購入できる乾電池なら、万一充電式電池が使えなくなってもスグに対応できます。しかも必要本数が少ないので、省コストです。

1300チャンネルの豊富なメモリー容量

 航空無線では、たくさんの周波数が様々なセクションに割り当てられています。例えば羽田空港を例にとれば、タワーだけでも第1ターミナル側と第2ターミナル側で別れています。これにグランドやクリアランスデリバリー・デパーチャーやアプローチを含めれば、10以上の周波数が使用されていることになります。

 

 聞きたいセクションが変わるたびにいちいち手で周波数を変えていたのでは大変ですので、レシーバーの「メモリー機能」を使用します。予め聞きたいセクションの周波数・電波型式をメモリーにセットしておけば、メモリーチャンネルを切り替えるだけで簡単に周波数の変更が出来ます。

 

 IC-R6では、1300チャンネルのメモリーを装備しているので、好きな周波数を自由にメモリーしておくことが出来ます。また「バンク機能」を使用すると、100チャンネル単位で周波数をまとめて管理する事が可能。例えば「羽田空港」をAバンクに、「成田空港」をBバンクに・・・と言うように別けておけば、空港が変わるたびにバンクを変えるだけで簡単に周波数変更が出来ます。

 

 このメモリーチャンネル数、もっと多い2000チャンネルなどを搭載している機種もあります。しかし、実際に使用するチャンネル数を考えると、1000チャンネル前後でも十分なことが多いです。

逆に多すぎるメモリーは、管理する手間が大変になってきます。

 エアバンド以外の無線も聞きたいなど、ワイドバンドレシーバーをより活用したい方には、メモリーチャンネルの多い機種を選択するほうが良いと思います。

 

 メモリーには英数・記号を使用して名前を付けることが出来ますので、メモリーの呼出しがわかりやすくなります。

 ただし、名前に使えるのは英数・記号のみです。カタカナ等の日本語が使えませんが、例えば空港名に「HND」・「RJTT」(羽田空港の場合)など3レターや4レターコードや、「TWR」や「GND」

(管制セクションの略称)などを使って工夫する事で、わかりやすい名前にすることが出来ます。

 

テンキーボードは無し

 「IC-R6」にはテンキーボードがありません。なので、周波数やメモリーチャンネルを直接テンキーで入力することが出来ません。操作ボタンは電源ボタンを含めて9個のみ。一見すると操作性が悪そうに見えますが、通常のエアバンドワッチであればこれで十分なのです。

 

 メモリーチャンネルのお話しで書いたように、エアバンドワッチではメモリーを駆使しますので、通常の受信時にはメモリーチャンネルの切替操作が主となります。操作はメインダイアルとファンクションキーだけでほとんど出来ます。

 

 ただ、メモリーに入っていない周波数に瞬時に変更する時など、テンキーボードが欲しくなると思いますが、 IC-R6では少ない操作キーで大きく周波数変更できる機能がありますので、テンキーが無くても十分に対応が可能です。

 

パソコンと接続してメモリー管理が簡単に!

 オプションのプログラミングソフト「CS-R6」を使用すれば、パソコンでメモリーの編集・管理が可能。クローニングケーブル「OPC-478UC」と一緒に購入すれば、IC-R6とパソコンを接続してクローニングが出来るようになります。

 

 テンキーの付いていないIC-R6では、メモリーの編集・確認には結構手間がかかり大変です。

パソコンの画面上で操作が出来れば、編集や管理が非常に楽になります。

 また、レシーバーの故障などで万一メモリーがリセットされてしまっても、パソコンにバックアップがあれば簡単に復旧することが出来ます。それぞれ、下記のボタンから通販サイトでの購入が可能です。

 

【クローニングソフト
       CS-R6】
【クローニングケーブル
     OPC-478UC】

  

3色から選べるカラーバリエーション

 「無線機」と聞いて、皆さんはどんなカラーをイメージしますか?

 テレビドラマなどで時々出てくる無線機は、ほとんどが黒やグレー系のカラーですよね。おそらく

多くの方がそのようなカラーリングをイメージするのではないでしょうか。

 

 IC-R6も基本的には黒系のカラーリングです。しかしIC-R6では、基本色の他に「メタリック

レッド」と「メタリックブルー」を含めた3色から、好きな色のモデルを選ぶことが出来ます。

 

 性能には関係ありませんが、せっかく持つなら少しでも個性的なレシーバーを選びたいところですよね。好きなカラーを選んで、永く良き相棒となってもらいましょう。

 

メタリックブルー
モデル
メタリックレッド
モデル

【コラム】通信機メーカー「アイコム社」の歴史

 「ICOM(アイコム)」は前身の「井上電機製作所」として1964年にアマチュア無線機器メーカーとして創業しました。以来、次々と新技術を搭載した製品を世に送り出し、1978年に現在の「アイコム」ブランドに社名変更し、1982年には業務用通信機器の生産・販売もスタート、現在に至ります。
今でも先進的なアマチュア無線機器を発売し続け、根強い支持を受けています。長い歴史に裏打ちされた、高い信頼性でユーザーを満足させる製品に、これからも期待が高まります。

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