【以下は絶対に守って下さい!!】
機内での保安上の遵守・要望事項等は、国内法は元より航空各社で定められています。
これらを無視した行動は、航空機の安全運航の妨げになり、場合によっては法律違反となる場合があります。
絶対に、これらの法や遵守事項に反する行為は行わないで下さい。
そのような行為が、今後機内でのエアバンドワッチなどが出来なくなるなど、広く大きな影響を与えてしまう事を、十分にご理解下さい。
また、違反行為の有無に係わらず、機内では乗務員の指示に従って下さい。他の乗客の方の迷惑になる行為も絶対に行わないで下さい。
機内での航空無線の傍受を禁止している航空会社もあります。各社のホームページ等で調べる事が出来ますが、もし不明な場合は必ず各社に問合せし、どうしてもわからない時は機内での受信をお控え下さい。
当サイトの記載内容等により、万一不利益を被ったとしても、当サイトでは一切の責任は負い兼ねますので、予めご了承下さい。
【コンテンツ】
- 1.機内で受信できる内容
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そもそも、航空機内でエアバンドを受信する事が出来るかどうかですが、答えは「ある程度は出来る」と言うのが正解と思います。
航空機は大雑把な言い方ですが「金属(最近は炭素繊維なども使われています)」などで出来ています。金属には電波を遮断する性質があります。
航空機は、機外に取付けられたアンテナで電波を送受信して、外部と交信を行います。
従って機内でのエアバンドワッチでは、機外の電波を受信することになりますが、機体を通り抜ける際にどうしても電波は弱くなってしまいます。
このため受信できる内容が限られてしまうので、完全に「出来る」とは言えない状態になります。
では、具体的にどれくらいの内容が受信できるのでしょうか?
- (1)空港など地上にいるとき
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空港など、航空機が地上にいる時は、自分が搭乗している航空機の電波はもちろん、管制塔からの送信内容も比較的受信することが出来ます。おそらく、地上の送信アンテナからそれ程距離がないためだと考えられます。
空港の設備や環境によりますが、航空機の離陸直後くらいまでは、比較的地上の送信内容を聞くことが出来ますので、大きな空港であれば、クリアランス発出から離陸許可・デリバリーへのハンドオフくらいまで受信する事が出来る事があります。
- (2)上空を飛行しているとき
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離陸直後はまだしも、航空機は高速で空港から離れていきますので、瞬く間に地上の管制は受信出来なくなっていきます。
私の経験では、デリバリーとのファーストコンタクト辺りで、既に地上の管制はほとんど聞こえなくなります。つまり航空機が地上を離れたら、それ以降は航空機側の電波しか受信出来ない、と考えて良いと思います。
- 2.より良く受信するコツ
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せっかく機内でも管制を聞いてみるなら、出来るだけ多く受信できた方が良いですよね。
では、少しでも良く受信するためのコツは何でしょうか?
- (1)イヤホンを使用する(必須)
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「より良く受信するため」という前に、絶対に必要な「マナー」です。
当然ですが、機内にはたくさんの乗客が一緒に搭乗しています。静かに休みたい人・仕事をしたい人・自分なりに音楽などを聴いて楽しみたい人など、いろいろな人がいます。
そんな環境の中で、自分勝手に航空管制の交信をスピーカーから流して良い訳がありません。無線の音は、関係ない人には雑音にしか感じられません。非常に迷惑になりますので、絶対にイヤホンを使用して下さい。
加えて電波法で規定された「通信の秘密の保護」に抵触する事もあり、余計な疑いをかけられてしまわないためにもなります。
また、より良い受信のためでもあります。弱い電波を少しでもしっかり捉えようと思えば、イヤホンを使用した方が僅かな音声でも聞き逃しにくくなりますし、音量を絞ることが出来るためワイドバンドレシーバーのバッテリー保持時間が長くなる効果もあります。
機内でエアバンドの受信を楽しみたいのであれば、イヤホンも必ず準備するようにしてください。
- (2)窓際の座席を予約する
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言うまでもなく、電波は外から機内に届きます。となれば、窓際の方が電波が受信しやすいのは当然ですね。
皆さんも、家など建物の中でラジオを聞くとき、部屋の奥よりも窓際で聞く方が、ラジオの受信感度が良く明瞭に聞こえた経験があると思います。
機内でのエアバンドワッチでも同様の事が言えます。少しでも良い環境で楽しみたいなら、窓際の座席を予約するのが良い方法だと思います。
- (3)高感度のアンテナを使用する
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「その他の周辺機器」ページで紹介している、高感度アンテナを使うと受信感度の向上が期待できます。
受信機に標準で付いているアンテナより、少しでも長さのあるアンテナの方が、電波を捉える能力が高い(高利得)ので、特に電波の弱くなる機内では、少しでも性能の良いアンテナを使う事で、電波を受信しやすくなります。
ただし、あまり長すぎるアンテナを使用すると、狭い機内では却って邪魔になったり、他の乗客への迷惑になる事がありますので、機内での取扱いがしやすい長さのアンテナにしておきましょう。
- 3.交信を聞き逃さないために
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上空の機内では、地上側管制の電波はほぼ受信することが出来ません。自分が搭乗している航空機から送信される会話だけが頼りになります。なので、これを聞き逃さないように気を付けましょう。
管制は、航空機のフライトのフェーズにより、いろいろな周波数を切替えていきます。ですから周波数変更のタイミングを聞き逃すと、それ以降機内で管制を受信する事が非常に困難になってしまいます。
機内でのエアバンドワッチを成功させるカギの一つは、周波数変更にしっかり対応する!という事です。 では、周波数変更に対応するにはどのようなコツがあるでしょうか?。
- (1)周波数変更のフレーズを聞き逃さない
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一番に大事なことは、「周波数変更の指示を聞き逃さない」という事です。これを聞き逃せば、当然ですが周波数が変更されたこと自体が判りませんので、それ以上追跡する事が困難になってしまいます。
「 航空管制の交信例 」のページでも周波数変更の場面が出てきますが、ここでも具体的に、どのようなやり取りがされるかを見ておきます。しっかり学習して、周波数変更のタイミングを聞き逃さないようにしましょう。
上の図は、航空管制と航空機間での、周波数変更のフレーズをごく簡単に模式化したものです。特に「Contact(コンタクト) 〇〇コントロール、XXX.XX」は、周波数変更時の標準的なフレーズですので、覚えておいてください。
受信機から「Contact XXX」というフレーズが聞こえてきたら、周波数が変更されると考えて、そのあとに指示される周波数を確実に聞き取ります。
管制セクタが変更になる時は、「Contact」に続いて、次の管制セクタ名、その周波数が順に告げられます。機内で受信できるのは航空機側の電波だけですので、パイロットが復唱する内容に十分注意しておくことが重要です。
- (2)飛行ルートを事前に把握しておく
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旅客機は、原則として予めフライトプランで届け出たルートに沿って飛行します。他の旅客機などの運航状況や天候により、ルートが変更されることも日常的によくありますが、おおよそ出発地・目的地によりルートは決まっています。
なので、通過する管制のエリアもおおよそ決まっています。通過する管制エリアが判れば、管制の周波数をおおよそ予想することが出来るので、万一周波数変更のタイミングを聞き逃しても、次のエリアで待ち伏せすることが出来るようようになります。
飛行ルートを調べる方法はいろいろありますが、最も確実で簡単な方法は、実際に飛行している航空機のルートを見る方法です。テレビなどで見た事がある方もいると思いますが、「フライトレーダー24」というサイトが私のおすすめです。
上の図が、実際に飛行ルートをトレースした状態です(図をクリックすると拡大できます)。
この例では、ANA609便が東京羽田を出発して、豊橋付近まで飛行したルートが表示されています。
ご自分が搭乗する予定の便が判っていれば、同じ便の飛行ルートを事前にトレースしておくことが出来ます。それに管制のセクタ図を重ねれば、どのようなセクタを引継いでいくかが予想できます。
- (3)予想される管制周波数をメモリーしておく
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通過が予想される管制エリアが判れば、周波数も予め予想することが出来ます。ならば、その周波数を予め受信機にメモリーしてしまいましょう。
レシーバーによっては、購入時に全国の周波数が予め済みの製品もありますが、ここではもっと使いやすくするために、空いているメモリチャンネルを利用します。例えば、下の赤い線のようなルートでフライトする便に搭乗し、機内で管制を聞きたいとします。
ルート上で、通過する事が予想される管制エリア(セクタ)を確認します。
この例では、[T12]→[T26(200+)]→[T26]→[T22(200-)]→[T22]の順に、セクタを通過していくと考えられます。そこで、レシーバーのメモリに、各セクタの周波数を順番に設定していきます。
例として、メモリチャンネル501から順に設定した場合、下表のようになります。
メモリ
チャンネルセクタ
(記号)セクタ名 周波数
(MHz)501 T12 関東西セクタ 120.500 502 T26(200+) 東海セクタ 123.900 502 T26 東海セクタ 123.900 503 T22(200-) 山陽セクタ 133.500 503 T22 山陽セクタ 133.500 実際に機内で受信するときは、設定したメモリチャンネルを、周波数変更のタイミングで順番に切り替えていくだけで、スムーズに交信を追跡する事が出来ます。
この例では、予想される使用周波数が3つですので、メモリも3チャンネルでOKですが、実際にはもう少し通過するセクタが増えることが多いです。また、ルート変更などに備えて、隣接するセクタの周波数もメモリに設定しておくと良いでしょう。
- (4)メモリースキャン機能を活用する
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航空機の運航は、時には予想通りに進まない事もあります。何らかの影響で遅れが生じたり、逆に上空が混雑していない場合など、予定ルートをショートカットする指示が管制から出る事があります。
そのようなイレギュラーが起こると、周波数変更に追いついていけず、迷子になる事がしばしばあります。そういった不測の事態に対応するのが、「メモリースキャン」という自動サーチ機能です。
この図は「メモリースキャン」の機能を簡単に図式化しています。予めメモリーされた周波数(メモリチャンネル)を、一定周期で順番にサーチする機能です。
もし、サーチ中にその周波数で電波を受信すると、自動的にスキャンが一時停止します。これにより、行方不明になっていた航空機の電波を捉えることが出来るようになります。