航空無線(エアバンド)ってなに?
空を飛ぶ航空機は、自由に好きな場所を飛び回っているわけではありません。 もし、勝手気ままに航空機が飛び回ると、上空で航空機同士の衝突事故などが多発してしまいます。
例えば時速500kmで飛行する2機の航空機が、同じ高度を向かい合わせで飛んできた場合、衝突するまで僅か約30秒!
このような事故を防止し、航空機同士が安全に、かつ効率よく飛行できるようにするため、航空管制官が指示を出し統制を取っており、これらの無線通信の事を「エアバンド(航空無線)」と呼んでいます。
このページでは、エアバンド(航空無線)でどんな通信が行われているのか、内容や目的について簡単に解説します。
- 1.航空管制官とパイロットの通信
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一般的に知られているエアバンド(航空無線)とは、おそらくこれがメインだと考えます。
航空関係をテーマにしたテレビドラマなどでも、航空管制官とパイロットの交信シーンを見る事がありますよね。あのシーンで使われている無線通信が「エアバンド(航空無線)」です。
交信の内容は航空管制官からの許可・指示や、パイロットからの要求のやり取りが主体です。例えば航空機が離陸するときは、航空管制官から「離陸許可」がパイロットへ無線で与えられます。有名なところでは「クリアードフォーテイクオフ!」と言うセリフが聞かれます。
また、パイロットからも飛行経路上の天候状況などにより、飛行高度や経路の変更などを航空管制官にリクエストします。航空管制官は、その時の周辺状況などを十分に確認し、問題がなければリクエストを許可して指示します。
このような、航空管制官とパイロットの交信が日々行われているのが、エアバンド(航空無線)です。
- 2.航空会社内の連絡・情報交換
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航空管制官のみではなく、航空各社でも自社のパイロットとの情報のやり取りが必要です。この時も無線通信を行っており、エアバンド(航空無線)にはこの通信も含むことが一般的です。
これらは「カンパニーラジオ」と言われています。日本語訳すれば「社内無線」と言う感じで良いでしょう。
航空各社では、自社の運航する航空機が定刻運航出来ているか、航空機にトラブルなどが発生していないかなどの情報を、パイロットとの無線通信で確認しています。
細かなマイナートラブル(機内のオーディオサービスに不調があるとか、ちょっとした不具合など)については、予めパイロットから情報を得ておくことで、到着後に整備士が迅速に対応する事が出来ます。
また、航空路上の気象状態も大切な情報交換になります。実際に航空路を飛行したパイロットの情報により、そのルートを飛行予定の後続便が、より安全で快適なルート設定をする事が出来ます。
- 3.空港周辺の気象情報
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日本国内にある一定の規模以上の空港では、主にその空港に着陸する航空機に対して、空港周辺の気象情報を放送しています。この放送の事を「ATIS」と呼びます。
放送の内容は、その時間帯の空港周辺の風向・風速・気温・露点温度・気圧や雲の状況などです。詳細については、【空港の情報を放送する「ATIS」】のページで解説しています。