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アイコムの最新レシーバー IC-R15を解説

 「IC-R15」は2023年12月に発売された「アイコム」の最も新しいワイドバンドレシーバーです。2022年12月に上位モデルの「IC-R30」が生産終了となって以来の新製品です。

 (※ワイドバンドレシーバーで最も新しいのは、アルインコの「DJ-X82(2024年8月発売)」です)

 

 日本語表示の大型カラー液晶画面が採用され、非常に見やすく操作性が向上しています。その他にも最新機種らしくいろいろな機能が搭載された魅力的なワイドバンドレシーバーです。

 価格も相応にアップしており、IC-R6と比較すると2倍以上の価格ですが、操作性・機能性の向上を考えれば高すぎる価格ではありません。今お持ちのレシーバーからの買い替えにちょうどよい1台と言えるでしょう。もちろん、初心者の方が初めて購入する機種としてもお勧めです。

 

1.IC-R15の主な仕様

 最初に「IC-R15」の主な仕様を記載します。

項  目 仕  様 備  考
受信可能周波数 108~500MHz 標準では一部非対応周波数
あり
受信電波形式 AM/FM/ワイドFM(FMラジオのみ)  
使用電源 付属リチウムイオンバッテリーパック(DC3.6V)
単三型アルカリ乾電池×3本(DC4.5V)
外部電源:DC5V±5%(USB充電時)
単三型アルカリ乾電池を使用するには、オプションのバッテリーケース「BP-293」が必要
バッテリー持続時間 付属リチウムイオンバッテリーパック使用で
約13時間
メーカーの定める条件での
持続時間
メモリーチャンネル 通常メモリー:2000チャンネル
スキャンエッジ25組
オートメモリーライト:200チャンネル
 
サイズ・重量 [サイズ]幅58×高さ116×奥行33.8(mm)
            ※突起含まず
[重 量]アンテナ・付属電池含め約260g
 
標準付属品 アンテナ・リチウムイオンバッテリーパック・
ベルトクリップ・ハンドストラップ
 
価格 \49,800前後 2025年5月現在の楽天販売
価格
  詳細仕様はこちらからメーカーのホームページでご確認ください。価格は変動しますので、購入の際にはご自身で確認をお願いいたします。
2.ミドルレンジの価格帯

 2025年5月現在で販売されているハンディタイプの国産ワイドバンドレシーバーは、アイコムの「IC-R6」と「IC-R15」、アルインコの「DJ-X82」と「DJ-X100」4機種です。それぞれ参考価格は以下の通りです。

 

 【アイコム】 IC-R6 :\19,800  IC-R15 :\49,800

 【アルインコ】DJ-X82 :\24,200  DJ-X100 :\79,200

 

 アルインコの「DJ-X100」は従来のアナログ通信に加えてデジタルモードに対応していますので、高めの価格帯です。このため、エアバンド受信を主として考えた場合、「IC-R15」は最も高い価格となります。上記4モデルの中ではミドルレンジの価格帯になっています。

 

 とは言え、実売価格\50,000前後ですので、高級機ということはありません。性能を考えればコストパフォーマンスの高い製品と言えます。

3.小型軽量はそのままで性能アップ

 携帯性が重要なワイドバンドレシーバーですが、「IC-R15」は小型・軽量な点も変わりありません。

 

 重量がアンテナ・付属バッテリを含めて「260グラム」です。「IC-R6」と比べると60g程増加していますが、この程度であればおそらく気になることはないでしょう。サイズはIC-R6との比較で高さが30mm、奥行が4mm増加していますが、これもほとんど携帯性に影響することはないでしょう。少しでも小型・軽量にこだわるなら「IC-R6」を選択すればよいと思います。

 

 しかし、多少のサイズ増量は操作性の向上で十分カバーできる問題ではないかと思います。

 

4.乾電池使用時はオプションが必要

 「IC-R15」には、リチウムイオンバッテリーパックが標準で付属しており、フル充電で約13時間の長時間稼動が出来ます。ただし、単三アルカリ乾電池を使用するにはオプションのバッテリケース「BP-293」を別途購入する必要があります。必要な電池は3本です。

 

 「IC-R6」の解説ページで「単三乾電池が使える」という事が大事なポイントであると書きました。これは過去に私がアマチュア無線のハンディタイプ無線機で経験した事から重要視しているポイントです。

 付属バッテリーパックをフル充電しておけば13時間使えるので、通常であれば電池切れで困ることはあまりないと思いますが、バッテリーパックは使用年数が経過すると劣化してきます。劣化したバッテリーパックを使っている時などは、やはり乾電池が使えるように備えておきたいものです。

 

 予備としてオプションのリチウムイオンバッテリーパックか、乾電池ケースを購入しておくことをお勧めします。

5.見やすいカラー液晶に日本語表示

 「 IC-R15」では、ディスプレイに大型のカラー液晶が採用されました。しかも日本語表示に対応しています。大きな文字で読みやすく、画面が広いので必要な情報が一目で読み取れます。

 

 左の図が画面表示の一例です。

 メモリーなどに付けられる名前の文字数は全角で8文字まで使えます。半角なら16文字まで付けられるので、自分で認識しやすい名前が付けやすく、メモリーした情報を探すのが楽です。

 この文字数、結構重要なんですよね。IC-R6など以前の機種ではアルファベットや数字・カナでしか使えず、文字数も多くなかったので、無理やり省略形で付けていました。このためいざメモリーを探すときに、見つけるのに苦労することがありましたが、IC-R15ではそんな苦労からも解放されます。

 

 現在大型液晶表示を採用しているワイドバンドレシーバーは、IC-R15の他に「DJ-X100」があります。こちらもカラー液晶で日本語にも対応していますが、表示色はモノトーンを採用しています。どちらが良いかは好みによると思います。

私は個人的には、カラーが使われているほうが見やすいかな・・・という感じです。

 

 今所有している「IC-R10(1997年購入)」は単色・2行表示・カタカナ及びアルファベット表示のみですので、「IC-R15」の視認性には期待しており、いつかぜひ欲しいと考えている1台です。

6.操作しやすい十字キーを採用

 携帯性が重要なハンディタイプのワイドバンドレシーバーですが、そのため操作性が犠牲になることもあります。

 

 「IC-R15」では、テンキーこそありませんが、代わりに「十字キー」を採用し、操作性の向上が図られています。

例えばメモリーネームの編集をする場合、IC-R6では上面のダイアルと、正面のアップ/ダウンキーでの操作でしたが、IC-R15は十字キーで素早く希望する文字を入力できます。広い液晶表示と相まって操作性が良くなっています。

 

 また文字入力以外にも、各種設定や機能へ十字キーで素早くアクセスできるので、操作に時間がかかって航空管制を聞き逃す・・・という心配も少なくなります。

7.2つの周波数を同時に受信可能

 羽田・成田・関空などの大きな空港でのエアバンドワッチでは、タワーやグランドなど一つの周波数のみでなく、時に2つの周波数を同時に聞いておきたい場面が必ずあるはずです。

 

 例えば、メインの目的である航空機がアプローチ中に、地上にいる別の航空機の動きも注視しておきたい・・・などといった場面が考えられます。

機内でエアバンドを受信している際に、ハンドオフされるタイミングを聞き逃してしまった・・・などといった場合も、現在管制されている周波数と、次にハンドオフされると予想される周波数を同時に聞いておくことで、聞き逃した管制を再び補足することが可能になります。

 

 IC-R15では、このような時に便利な「2波同時受信(デュアルワッチ)機能」を搭載しています。AバンドとBバンドに、それぞれ 異なる周波数をセット しておくことで、同時に2つの周波数が受信できます。

 また、設定によりAバンド受信中にBバンドを自動的にミュートしたり、といった使い方もできます。

 

 この機能があれば、チャンスを逃すことなく、聞きたい航空管制をしっかりとらえることが出来ますね。ぜひ使ってみたい機能です。

 

8.Bluetooth機能・かんたんモード搭載でさらに便利に

 エアバンドワッチではイヤホンを使用して管制を聞くことが多くなります。特に外出先で、人が多くいる場所ではイヤホンは必須です。

 

 IC-R15には「Bluetooth」機能が搭載されています。市販のBluetoothイヤホンを接続すれば、煩わしいイヤホンケーブルから解放されるので、快適なエアバンドワッチが出来るようになります。屋外でも、また機内でのエアバンドワッチでもこれは非常にうれしい機能ですね。

 私自身、機内でエアバンドワッチをするためにイヤホンを準備しておいたものの、いざイヤホンを繋いでみたら断線していて使えなかった・・・という

経験があります。Bluetoothであればこんな心配も無くなります(充電切れには注意が必要ですが・・・)。

 

 また、IC-R15には初心者向けの機能として「かんたんモード」が搭載されています。あらかじめ日本国内の空港や航空路の管制周波数が分類されてメモリーされており、初心者でも簡単に聞きたい管制周波数にたどり着くことが出来ます。メモリーは日本語表示なので、周波数を知らなくても大丈夫!IC-R15を手にしたその日から、すぐにエアバンドワッチが楽しめます。

9.IC-R6解説まとめ

 以上、アイコムの最新ワイドバンドレシーバー「IC-R15」について解説してきました。

 「IC-R15」のおすすめポイントをまとめてみます。

(1)見やすい大型カラー液晶表示

 大型のカラー液晶表示が採用され、また日本語表示なので情報が判りやすく、見やすくなりました。IC-R15の最大アピールポイントだと思います。

(2)聞きたい電波を逃さないデュアルワッチ機能

 多くの周波数を使う航空管制を聞く上で、デュアルワッチ(2波同時受信)機能は非常に有効に使えそうです。管制のハンドオフを聞き逃したり、空港での写真撮影時には目的の航空機の管制交信を聞き逃したり・・・という失敗を防いでくれそうな機能、ぜひ活用してみたいものです。

(3)Bluetooth機能搭載で快適エアバンドワッチ

 Bluetoothイヤホンを接続すれば、煩わしいイヤホンケーブルから解放されるため、屋外や機内での快適性がアップ! イヤホンケーブルの断線リスクも無くなります。

 ※Blutooth Ver 5.2準拠

 やはり2023年発売の新しさを感じる機能が多く搭載されています。画面の見やすさ、操作性の向上も非常に高いレベルで図られています。

旧モデルからの買い替えにバッチリと思いますが、ワイドバンドレシーバーを初めて購入される方にも自信をもってお勧めできます。

 \50,000は多少高く感じるかもしれませんが、永く使うことを考えれば損をすることはないはずです。

 

 ワイドバンドレシーバーは、全国のアマチュア無線機器販売店などで取り扱っています。家電量販店やホームセンターでは、一般的に取り扱っていません。お近くに取扱店が無い方は、下記通販サイトで購入できますので、オプションも併せて購入にご利用ください。

 
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