- 1.ワイドバンドレシーバとは
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「ワイドバンドレシーバー」とは、日本語で「広帯域受信機」とも言います。
その名の通りワイドバンド・・・つまり非常に広い周波数帯域に対応したレシーバ(受信機)です。
「受信機」という事ですから、電波を発射する(送信する)機能はありません。判りやすく言えば、ラジオと同じようなものです。なので、誰でも購入して使うことが出来ます。特別な資格は必要ありません。
中には、「普通のラジオでもエアバンドは聞けるの?」という疑問を持つ方もいると思います。
そこで、次にラジオとワイドバンドレシーバの違いを説明します。
- 2.ラジオとの違いは?
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「ワイドバンドレシーバー」とラジオの決定的な違いは、受信周波数範囲の違いです。
一般的に言う「ラジオ」は、中波帯のAM放送や超短波帯のFM放送に対応しています。放送局からの放送電波を受信するのが目的ですから、対応する周波数も限られています(中波帯:526.5~1,606.5KHz、超短波帯:76,1~94.9MHz)。
これに対し「ワイドバンドレシーバー」は、いろいろなジャンルの通信を受信する事を目的に製造されています。なので、中波帯付近の低い周波数から、超短波帯以上の高い周波数まで広く対応しています(対応する周波数は製品によって異なります)。
また、ラジオ放送にもAMやFMがあるように、無線通信ではいろいろな形式の電波が使用されています。ワイドバンドレシーバーはこれらにも対応するため、AMやFMはもちろん、一般的にはあまり聞き慣れない「SSB」といった形式の電波にも対応しています。
なお、エアバンドを受信するためであればAMのみで大丈夫ですが、基本的に現在入手できるワイドバンドレシーバーはすべてAMに対応しています。
以上のように、エアバンド(航空無線)は、ラジオ放送とは異なる周波数帯を使用していますので、これに対応する「ワイドバンドレシーバー」が必要となるのです。
- 3.どんなものが受信できるの?
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当然ですがエアバンド(航空無線)を受信する事が出来ます。
その他にアマチュア無線、AM・FMラジオ放送、タクシーの配車指令、公共事業(上下水道)などの業務通信、JRなどの鉄道関係の指令、消防の消火活動などの通信を聞くことが出来ます。
ただし、消防やタクシーの敗者指令などの無線通信は、現在ほとんどがデジタル化されています。このため市販のワイドバンドレシーバでは聞くことが出来ません(一部、アナログで交信している事もありますので、これらを聞くことは可能です)。
その他の通信も、最近はデジタル化が進みつつあります。今後ワイドバンドレシーバで聞ける業務用通信は減少するかもしれません。
しかしエアバンドについては、主たる通信は今後もしばらくはアナログのままだと思います。
エアバンド(航空管制)は世界共通で行われています。なのでデジタル化するには、1か国だけでどうこう出来る問題ではなくなります。
また、エアバンドで使用されているアナログのAMにはデジタルにない特徴があります。
例えば複数の航空機が、同時に一人の管制官に対して呼びかけを行った時、アナログのFMやデジタル方式の場合、管制官には電波の強い方のみが聞こえてきます。
しかしアナログのAMでは、両方の声が混信して聞こえてきます。なので、片方の航空機の呼びかけに気づかず聞き逃してしまう、ということが起きにくい特徴があります。これが航空管制の通信では非常に有効になります。
今後も航空管制が聞けなくなる事は無いと思います。エアバンドを聞いてみたいとお考えなら、安心してワイドバンドレシーバーをご購入ください。
(※羽田空港のクリアランス・デリバリー等、デジタル通信に変わっている部分もあります。)
- 4.市販されているワイドバンドレシーバー
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2025年5月現在、無線機器販売店や通信販売で入手できるワイドバンドレシーバを製造しているメーカーは「アイコム」・「アルインコ」及び「エーオーアール」の3社で、ハンディタイプが4機種、デスクトップタイプが3機種です。それぞれ以下の製品が販売されています(私の調査です)。
【アイコム】
(1)ハンディタイプ IC-R6
(2)ハンディタイプ IC-R15(2023年12月発売)
(3)デスクトップタイプ IC-R8600
【アルインコ】
(1)ハンディタイプ DJ-X82(2024年8月発売)
(2)ハンディタイプ DJ-X100(2024年8月発売)
【エーオーアール】
(1)デスクトップタイプ AR6000
(2)デスクトップタイプ AR5001D
このホームページでは、このうち「アイコム」と「アルインコ」の2社の製品をメインに取り扱うことにしました。
エーオーアール社の受信機は、永くユーザから支持されていますが、私の印象では他の機種よりやや高価な事から、比較的購入しやすい2社とすることとしました。
エーオーアール社の製品について詳しく知りたい方は、こちらのリンクよりメーカーのページでご確認ください。
各製品の仕様や特徴などを下記のリンク先のページで解説しています。
【ICOM
IC-R6】IC-R6 解説ページはこちらをクリック
(メーカ製品ページはこちらをクリック)【ICOM
IC-R15】IC-R15 解説ページはこちらをクリック
(メーカ製品ページはこちらをクリック)【ICOM IC-R8600】 IC-R8600 解説ページはこちらをクリック
(メーカ製品ページはこちらをクリック)【ALINCO
DJ-X82】DJ-X82 解説ページはこちらをクリック
(メーカ製品ページはこちらをクリック)【ALINCO DJ-X100】
DJ-X100解説ページはこちらをクリック
(メーカ製品ページはこちらをクリック) - 5.どこで購入できるの?
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ワイドバンドレシーバーは、アマチュア無線用の無線機やアンテナ等を取り扱っている販売店で購入する事が出来ます。また、電子部品の販売店でも取り扱っている場合があります。
しかし携帯電話の普及により、アマチュア無線の需要が減少し、アマチュア無線機器の販売店は非常に少なくなりました。このため、お住いの地域によっては取扱店が無いか、あっても非常に遠方になる場合があります。
現在はインターネット通販での購入が簡単になり、ワイドバンドレシーバーも大手通販サイトで購入することができます。例えばアイコムの「IC-R6」とアルインコの「DJ-X82」は、楽天市場やAmazonで購入が可能です。
その他の通販サイトでも購入できるところはあると思いますので、よくご利用になるサイトで検索してみて下さい。
基礎編 | 機器編 | 実践編 |
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ワイドバンドレシーバーって何?
エアバンドを受信するのに必要な「ワイドバンドレシーバー」。
あまり一般的には馴染みがないので、どんなモノなのかピンときませんよね。そこで、「ワイドバンドレシーバ」とは何なのか、ラジオとの違いなどや現在入手できる製品など、簡単に解説します。